在宅マッサージ・アセスメントの基本姿勢
在宅マッサージの為のアセスメントを行うには、先ず、クライアントの置かれている環境の把握から始まって、クライアントや介護家族を含めた、マッサージ施術に対する具体的な要望を、相互の信頼関係を築きながら、まとめてゆかなければならない。
特に、重要なのは、クライアントに対し、マッサージの技術的な問題だけではなく、クライアントが人間らしく、生き甲斐を持って生きて行けるよう、積極的援助して行くことを目標にアセスメントをしてゆかなければなりません。
1 基本的人権の尊重
在宅マッサージの為のアセスメントを行う場合、単にマッサージをクライアントに施術・提供するということが目標ではありません。
クライアントが人間として尊厳をもって生きるためにその要望がどこにあるのかという、クライアント主体、クライアントの基本的な人権の尊重を基本姿勢にして、アセスメントを行わなければなりません。
2 生活の全体的把握
在宅マッサージの為のアセスメントでは、クライアント個人のみをみるのではなく、クライアント自身の、
- 日常生活のレベル
- 家族環境、社会的立場等、人間関係の中でのレベル
- 障害に対する考え方のレベル
- 社会、生活習慣の中で形成された考え方等、クライアントの傷病を取り巻く環境
等の全体を分析する必要があります。
また、クライアントの日常生活を支える介護家族の、
- 日常生活レベル
- 介護家族の周囲との社会関係
- クライアントへの社会資源の支援状況等
を分析しなければなりません。
その中から、マッサージの時間帯や回数、技術提供の方針などが浮かび上がって来るのであります。
3 自立と社会参加の拡大を目指す
在宅マッサージの為のアセスメントでは、マッサージ施術によってどこまで改善を期待し、日常の生活の中でどのようにしたいのかを良く聞き取りクライアントが出来るだけ社会参加が出来るような方向を見いだすべく施術計画を作成してゆかなければなりません。
4 専門的援助関係と職業倫理
マッサージ・アセスメントでは、クライアント自身が自立する為の手段として、マッサージに対する技術提供の方向性を見つけてゆくことであります。
従って、自立を獲得してゆくのはクライアント自身であり、マッサージへの過剰な期待やマッサージ師への過剰な依存に対しては、マッサージ施術がどこまで出来るのかということを、しっかり説明しながら、クライアントが自立した生活を取り戻せるよう方針を設定してゆく必要があります。
また、マッサージ師の職業の守備範囲というものをしっかり、認識してもらう必要があります。
クライアントの要求が、マッサージ師の職業範囲を越えていると判断される場合には、職業的責任をもって、他の関係医療、関係介護サービス等を紹介することが必要であります。
在宅マッサージの技術的基本原則
1 個別化の原則
在宅マッサージのニーズに対して、クライアントの個人的な状況や介護家族の介護状況等を考慮し、クライアントや介護家族に個別的に対応することです。
2 自己決定の原則
在宅マッサージのその施術内容と計画については、最後はクライアント自身が意思決定すること、クライアントの意思決定が不可能な場合は、クライアントの意思を代表できる介護家族の意志を尊重し、決定することであります。
その場合、マッサージ師が技術的に可能な領域と不可能な領域についてクライアントが明確に把握できるように説明しなければなりません。
3 秘密保持の原則
クライアント及びその介護家族の秘密はこれを厳守しなければなりません。
4 専門的援助関係の原則
クライアントの自立を基本とし、マッサージはあくまでもクライアントと介護家族への援助であることを認識してもらいます。
アセスメント・コミュニケーションの原則
1 傾聴
在宅マッサージの依頼及びその計画について、クライアント、及び介護家族の話に耳を傾け、どんな話に対しても、先ず、受け入れることであります。
特に、クライアントや介護家族の身体上の理由(例えば、耳が良く聞こえない等)や、コミュニケーション力の不足(事態の説明が上手に出来ない)等に、関しても、焦らず、できるだけ憶測を排し、クライアントと聞き手が、事態を一致して把握できるよう、クライアントや介護家族のコミュニケーションを援助する必要があります。
2 観察
会話でのアセスメントと同時に、クライアントの身体状況はもとより、家族関係等を観察し、クライアントの立場、介護家族の立場などを理解してゆく必要があります。
アセスメント-インテークワークの過程
アセスメント-インテークワークは、訪問調査~在宅マッサージ計画の作成を一つの過程とします。
1 在宅マッサージ依頼
在宅マッサージを依頼された場合には、
第一に、直接依頼をした人が、クライアント本人かその他の人(家族、友人等)かを、調査し、本人でない場合は、直接クライアント本人にマッサージの希望の有無を聞いてから、インテークワークに入る必要があります。
第二に、クライアントの傷病がマッサージの対象疾患かどうかの検討をしなければなりません。
2 クライアントの病態把握
- 現病歴の記録
- 病態の把握
- 日常生活動作(ADL)の検査(関節拘縮・筋麻痺等は詳細に検査)
3 同意書発行の依頼
4 在宅マッサージの契約と計画
在宅マッサージの契約をした後、現在行われている在宅支援サービスの状況(医師の訪問診療、訪問看護師の訪問サービス、ホーム・ヘルパーの訪問サービス等)を検討しながら、無理のない在宅マッサージの施術計画を立てる必要があります。

